2026.10.15

法人設立の費用は、全部でいくらかかる?

※この記事は2026年10月15日現在の税法などの情報にもとづいています。

法人設立の費用は、手続きを司法書士に頼んだ場合、株式会社でおよそ26万〜32万円、合同会社でおよそ15万〜18万円です。資本金が数百万円までの小さな会社で、2026年10月時点の金額です。司法書士の報酬は、当事務所がご紹介している司法書士の目安です。

株式会社合同会社
国などに払うお金約17万〜20万円約6万円
司法書士の報酬9万〜12万円9万〜12万円
合計の目安約26万〜32万円約15万〜18万円

資本金は、この費用とは別に用意します。費用は払ったら戻ってきませんが、資本金は会社の元手として会社に残るお金です。

もうひとつ、先にお伝えしておきます。設立のときに払うお金より、設立したあとの1年目に出ていくお金のほうが、ずっと大きくなります。社会保険料や、赤字でもかかる住民税などです。

国などに払うお金は、株式会社で約17万〜20万円、合同会社で約6万円です

いちばん大きいのは、登記のときに国に納める税金(登録免許税)です。小さな会社なら、株式会社は15万円、合同会社は6万円です。資本金の0.7%がこれより多くなる場合は、その額になります(出典:国税庁「登録免許税の税額表」)。

株式会社はこのほかに、会社の基本ルール(定款)を公証役場で証明してもらう手数料がかかります。資本金100万円以上300万円未満なら4万円、300万円以上なら5万円です。100万円未満なら3万円で、さらに、会社にお金を出す人が個人で3人以下、取締役会を置かない、などの条件を満たせば1万5,000円になります(出典:公証人手数料令)。合同会社には、この手数料はありません。

定款を紙でつくると、4万円の印紙代がかかります。電子データの定款(電子定款)なら、かかりません。司法書士に頼む場合は、ふつうは電子定款でつくります。

ほかに、定款の写しの代金(2,000円ほど)や会社の印鑑、登記のあとに取る証明書の代金などがかかります。

株式会社と合同会社のどちらにするかは、「株式会社と合同会社、設立するならどちら?」で説明しています。

司法書士に頼む場合は、報酬が別にかかります

会社の登記を代わりに行えるのは、司法書士(登記の専門家)です。当事務所がご紹介している司法書士では、報酬は9万〜12万円ほどが目安です。

自分で手続きをすれば、この報酬はかかりません。ただ、電子定款を自分でつくるには、マイナンバーカードでの電子署名などの準備がいります。準備が難しくて紙の定款にすると、印紙代が4万円かかります。浮くお金は、見た目より少なくなることがあります。

それより気をつけたいのは、定款の中身です。介護や障害福祉サービス、建設業のように、役所の許可や指定を受けて行う事業では、定款に書いた事業の目的が、審査で見られます。障害福祉サービスの指定を受けるなら、定款の目的に「障害福祉サービス事業」と入れておくのが基本です(出典:兵庫県「障害福祉サービス事業 指定申請のてびき」)。書き方が合っていないと、設立のあとで定款を直し、登記をやり直すことになります。目的を変える登記の税金だけで3万円かかります。

当事務所のお客様で、就労継続支援B型の事業所を開こうとしたところ、定款の目的の書き方が指定の申請に合わず、設立のあとに目的を変える登記をした方がいました。登記の税金3万円と司法書士の報酬8万円、あわせて11万円が余分にかかり、申請も2か月ほど遅れました。

許可や指定がいる事業を始めるなら、定款をつくる前に、許可を出す役所の手引きで目的の書き方を確かめてください。司法書士に頼む場合も、取る予定の許可を最初に伝えておくと安心です。

「設立費用0円」のサービスは、何が0円なのですか?

0円になっているのは、多くの場合、税理士事務所が受け取る設立の手続きの報酬です。登記を行う司法書士の報酬と、国などに払うお金は、別にかかります。

税理士の報酬を0円にできるのは、設立のあとに顧問契約を結ぶことを条件にしているからです。税理士事務所にとっては、設立のときから長くお付き合いいただけるお客様になるので、最初の報酬を事務所の側で持つ、という仕組みです。

この形が悪いわけではありません。ただ、顧問契約をいつまで続ける約束になっているか、途中でやめたら設立の報酬を請求されるかは、先に確かめておきましょう。顧問料に決算料が含まれているかもあわせて見ておくと、1年目の費用がつかみやすくなります。

当事務所も、顧問契約を結んでいただく場合は、設立に関わる手続き(設立後に税務署などへ出す届け出など)の報酬はいただいていません。司法書士はご紹介していますが、紹介料はいただいていません。顧問契約に最低の契約期間はなく、1か月前のご連絡で解約できます。

登録免許税が半分になる制度があります

市区町村が行う創業の支援(特定創業支援等事業)を受けて証明書をもらうと、設立のときの登録免許税が半分になります。株式会社は15万円が7.5万円に、合同会社は6万円が3万円になります(出典:中小企業庁「会社設立時の登録免許税の軽減について」)。

支援というのは、経営やお金、人の育て方、販路の広げ方を学ぶ創業セミナーや個別の相談です。原則として1か月以上かけて、4回以上受ける必要があります。証明書を出すのは、支援を行った市区町村です。住まいや会社を置く場所についての条件や、すでに会社を持っている人が2社目をつくる場合は対象外、といった条件がついていることもあるので、先に確かめてください(出典:西宮市「特定創業支援等事業【受講後のメリット】」)。

当事務所のお客様にも、独立して金融関連の会社を設立する際に、西宮市の起業セミナーを受けて、株式会社の登録免許税を7.5万円にした方がいます。

気をつけたいのは時期です。支援を受けて証明書をもらうのは、設立の登記より前でなければいけません。支援に1か月以上かかり、証明書が届くまでにさらに日数がかかります。福祉事業所の開所の時期から逆算して設立日を決めている場合のように、設立の日が動かせないときは、間に合うかを先に確かめてください。

また、この特例は、2027年3月31日までに設立の登記をする場合が対象です(2026年10月時点)。延長されるかどうかは、今後の税制改正で決まります。

資本金は、費用とは別にいくら用意すればいいですか?

資本金は、法律の上では1円からでも会社をつくれます。ただ、資本金は会社の最初の手元のお金です。設立してすぐの家賃や社長の給料、社会保険料は、ここから払います。

当事務所のお客様で、資本金100万円で設立して、設立直後の家賃や社会保険料が払えなくなった方がいました。社長個人のお金を300万円ほど会社に貸して、しのぐことになりました。

売上がすぐに入ってこない事業では、とくに気をつけたいところです。たとえば障害福祉のサービスは、報酬が入金されるのが、原則としてサービスを提供した月の翌々月です。その間も、職員の給料や事業所の家賃は毎月出ていきます。

資本金が少ないと、外からの見え方にも影響することがあります。資本金が少ない会社で、法人口座や融資の審査に通らなかった方もいました。金融機関は理由をあまり教えてくれないので、資本金だけが原因とはいえません。ただ、審査では会社の手元のお金も見られるので、少なすぎると不利になることはあります。

許可がいる事業では、許可の要件から資本金が決まることもあります。一般建設業の許可には、500万円以上の自己資本か、500万円以上のお金を用意できること、という要件があります(出典:国土交通省「建設業の許可とは」)。設立のときに資本金を500万円以上にしておくと、この要件を満たしやすくなります。当事務所でも、この要件に合わせて資本金を決めたお客様がいます。

なお、資本金を1,000万円以上にすると、1年目から消費税を納めることになるなど、税金の扱いが変わります。

資本金の額は、設立前に決めておく必要があります。当事務所では、資本金や決算月のご相談を無料相談でお受けしています。

設立したあとの1年目は、設立費用より大きなお金が出ていきます

設立のあとは、毎月・毎年かかるお金が始まります。いちばん大きいのは社会保険料です。社長が役員報酬(社長の給料)を受け取っていれば、社長ひとりの会社でも、健康保険と厚生年金に入ります。保険料は会社と社長でおよそ半分ずつ払うので、会社は社長の給料とは別に、会社の分の保険料を毎月払います。職員を雇う事業なら、職員の分もかかります。

当事務所のお客様にも、会社の分の保険料があることを知らず、最初の引き落としで驚かれた方がいました。金額の目安は「法人化の目安は利益いくらから?」で計算しています。

社長の給料は、原則として設立から3か月以内に決め、その年度のあいだは毎月同じ額にします。年度の途中で下げられるのは、業績が大きく悪くなった場合などに限られます。

1年目の給料を高く決めすぎて、会社のお金が足りなくなった方もいました。年度の途中では下げられないので、払えない分はいったん未払いにして、あとで支給しました。1年目は売上の見通しが立ちにくいので、当事務所では社長の給料を控えめに決めることをお勧めしています。決め方は「役員報酬はどう決める?」で説明しています。

ほかに、赤字でもかかる住民税(均等割)があります。小さな会社でも年7万円ほどかかり、市区町村によってはもう少し高くなります。1年目は、設立した月から数えて月割りになります。

設立にかかったお金は、会社の経費になりますか?

なります。登録免許税や定款認証の手数料、司法書士の報酬など、会社をつくるために払ったお金は「創立費」として、会社の経費にできます。設立のあと、事業を始めるまでの準備に特別にかかったお金は「開業費」です。

このふたつは、経費にする時期を会社で選べます。1年目にまとめて経費にしても、2年目以降に分けてもかまいません。当事務所では、1年目の利益の見込みを見て決めています。

つまずきやすいのは、設立の前に社長が立て替えたお金です。会社の口座ができる前は、社長が個人で払うしかありません。

領収書の宛名が社長個人の名前でも、会社の経費にできるか、というご質問をいただくことがあります。設立のために払ったものなら、できます。会社が社長に立て替え分を返したことがわかる記録を残しておけば大丈夫です。

設立前の打ち合わせの飲食代や交通費をどこまで含めてよいか、というご質問もあります。含められるのは、あくまで開業のために必要な費用です。家賃や給料のように、事業を続けるあいだ毎月かかる費用は、開業費には含められません。

反対に、設立前に払ったお金の領収書を捨ててしまった方や、口座ができる前の売上や支払いを個人の口座で受け払いしていた方は、あとからの整理に手間がかかりました。

設立の前から、領収書は捨てずに1か所にまとめ、何のための支払いかをメモしておくと、あとの整理がかんたんになります。

参考にした資料

  • 国税庁 タックスアンサー No.7191「登録免許税の税額表」
  • 登録免許税法 別表第一 24号(設立の登記、目的変更の登記)
  • 公証人手数料令 35条
  • 印紙税法 別表第一 第6号(定款)
  • 兵庫県「障害福祉サービス事業 指定申請のてびき」(令和8年4月)
  • 租税特別措置法 80条3項、中小企業庁「会社設立時の登録免許税の軽減について」
  • 西宮市「特定創業支援等事業【受講後のメリット】」
  • 兵庫県国民健康保険団体連合会(障害福祉サービス費の請求と支払)
  • 国土交通省「建設業の許可とは」
  • 消費税法 12条の2(新設法人の納税義務の免除の特例)
  • 健康保険法 3条3項、厚生年金保険法 6条1項
  • 法人税法 34条1項1号、法人税法施行令 69条1項(定期同額給与)
  • 地方税法 52条、312条(均等割)
  • 法人税法施行令 14条1項1号・2号(創立費・開業費)、64条1項1号(償却)

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